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サウスリッジホームの家造り
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暮らしのカタチ ― タイムマシーン ― >>バックナンバー一覧へ戻る

 平成20年12月17日、香芝市S幼稚園。園庭の桜の木は寒さの中で、ふっくらとした蕾を蓄えていた。園門付近の名も知らぬ木も、ねこやなぎによく似たつややかな芽をたくさんつけていた。小春日和の水曜日。

 平成20年12月は後世、世界経済崩壊の月として語り継がれるにちがいない。9月アメリカのリーマンブラザース破綻以来超高速で世界不況が進行している。本田宗一郎様、藤沢武夫様、井深大様、盛田昭夫様、我が尊敬申し上げる皆様はどのような思いで下界の騒動をご覧になっているのでしょうか。
 
  自然界は経済不況による人間のドタバタ喜劇などそ知らぬふりで、年々歳々いつもの如く、冬ごもり、春支度をしています。幼稚園の教室でオペレッタを演じている子供たちは、春に向けて密かに成長している草木と同じく自然の風景そのもののように見えます。 自然界は今も昔も変わりない営みを続けています。人間(大人)だけが日々あくせく生きております。ヒトは、自分らしさとか、生きがいとか、夢とか、いわゆる「自我」に目覚めた頃から欲望のままに「自然を破壊する」存在になってゆくのでしようか。或いはそれが人間の本性なのでしょうか。

 園庭の桜はソメイヨシノ。その寿命はおおよそ100年といいますから人間の寿命より少し長いでしょうか。ぼんやりと桜の木を眺めていると、ふと 父母のことを思っていました。

 父も母も大正11年生まれですから今年で87歳になります。園児たちの歌声を遠くに聞きながら、自分は父や母の幼い頃のことを全く知らないことに気がつきました。知ろうとしたことすらなかったことを、今になって気づいた、そのことに、驚いたのです。

 私の知る父も母もわたしが幼稚園の頃には当然大人になっており、そこから始まる親子の記憶は時折思い出すのですが、幼い頃の父母がどんな顔をした子供だったのだろうかということについては、まったく知らないのです。それは考えてみれば仕方のないことなのです。バックトゥ−ザヒュ−チャーの映画みたいにタイムマシーンに乗って行けば会えるのですが。ここの園児のようにニコニコと天使のような顔で笑っていたのだろうと思うと急に愛しさがこみ上げて来ました。

 やがて音楽が鳴り、園児たちが帰る時間となり、あたりがざわめいてきました。先生にご挨拶して、運動場を子供たちが出口に向かって歩いてきます。私には孫が二人おります。4歳と手をつなぎ5歳の兄ちゃんを迎えます。ふたりのニコニコ顔を見ていますと、ひょっとすると私の父親はこんな顔だったに違いないと思えてきたのです。二人を抱き上げたとき、むかしむかし父親に背負われた記憶がドッと込み上げ周りの風景がゆるゆると歪みました。

―― 今私は父親を確かに抱き上げたのです――
まさしくこれはタイムマシーンの世界ではないかと思えたのです。

 父とは母は兵庫県の但馬で老後の生活を送っています。スローライフそのものです。二人の孫たちもゆっくりとしたペースで生きて行ってほしいと願うのです。 <藤原>

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