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暮らしのカタチ ― ウメイロ ― >>バックナンバー一覧へ戻る

 「ウメイロ」は魚の名である。姿は鯛に似ている。平成10年頃だったと記憶するが「魚源」で食べたことがある。名前のとおり背中に少し色づきかけた青梅のようなラインが入っている。あれは確か初夏だった。和歌山県白浜町にある「朝日白浜ゴルフクラブ」で一泊し、翌日ラウンドした。大阪へ帰る途中「とれとれ市場」で買い求め、その夕刻行三人で、行き付けのすし屋「魚源」に寄った。
 
 「ゲンサン、この魚知ってるか」
 とY社長が聞くと、店主は聞いたことはあるが実物は見たことがありませんわ、とカウンターの向こうで答えた。
 
 「辰巳はん、これはめったに取れへん魚やで。超高級魚ですわ」
 と社長は長年のゴルフ友達に顔を向けて言った。

 「へええー、そうだっか、えらい綺麗な色 してまんなぁ」
 と言って辰巳さんはビールを飲み干した。

 「ゲンサン、目の下三寸で丁度ころや。造りにしてくれへんか。部長(私のこと)、めったに取れへん魚やし、取れてもほとんど東京へ行ってしまうんや。今日は運がよかったな。さあ食べや」
 と社長は言って冷酒を口に含んだ。

 今でもその日のウメイロの姿、色合いははっきり記憶に残っている。変わった名前の魚だなと思い印象に残った。味はどうだったか。少し固めだが、鯛に似て上品な美味しさだったように記憶している。ところで、そのころの私は体重が85キロほどあり肥満していた。体も肥えていたが実は舌のほうも相当「こえ」ていたのである。例えば。

取れたての「カツオのさしみ、たたき、お茶漬け」 天然の「クエの造り、クエ鍋」 「ぶりの砂ずり」天然の「大寒ブリ」 奈良吉野の巨大「マツタケ」と黒門市場の極上天然ふぐの鍋、「ぞうり海老(くつ)」 和歌山潮岬の「あかいか」 「鯨のオノミ・巨大インゴッド造り」「カナダ産マツタケと丸ごとキングサーモン」 等々。

 普通めったに口にすることが出来ない美味しいもの三昧の生活で充分舌のほうも鍛えられていたのである。だからその舌が味わった「ウメイロ」旨さの記憶には自信があるのです。

 こんなことを思い出したのは文芸春秋8月号に掲載された「すきやばし次郎」の初代小野二郎氏の文に触れたからである。内容は昨今、天然物の「すしネタ」がほとんどなくなり養殖ものばかりになって、もはや自分が握ろうとする「寿司」は滅びかけている。という内容であった。その記事の中でたまたま「ウメイロ」の名が出ていたのである。ウメイロは純粋天然物で、最近脚光を浴び始めている魚だそうである。

 Y社長も辰巳さんも今は亡き人で、早7年になろうとしている。「ウメイロ」は二人の笑顔や朝日白浜ゴルフクラブでプレーした時の思い出を呼び起こす。二人はあちらで気分よく遊び、飲み、食べているのだろうか。もうすぐお盆。久しぶりにこちらで一杯やりますか。ウメイロを肴にして。 <藤原>

 

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